技能実習生の受け入れが多い職種は、機械・金属関係
海外からやってくる外国人技能実習生。現在はさまざまな職種で実習生が働いています。では、実際に実習生を数多く受け入れている職種はなんでしょうか。
技能実習=農業・漁業というイメージがありますが、データ上はどうなのでしょうか。実は機械・金属関係の職種が、最も大人数の技能実習生を受け入れているのです。
単独職種としては「機械・金属関係」「建築関係」が多い
技能実習制度では2021年1月現在、83職種・151作業が実習可能となっています。
この広範囲な職種のうちで、平成29年度・平成30年度で一番、人数が多かったのは家具製作や印刷・製本・プラスチック成形などの多様な職種を含む「その他」であり、次いで多かったのは「機械・金属関係」です。つまり単独の職種としては「機械・金属関係」が最も多かったことになります。
これは外国人技能実習機構(OTIT)の統計によるもので、職種全体でみると第3位は「建設関係」です。第4位は「食品製造関係」となっていて、技能実習生と言われてすぐにイメージされる農業や水産業などの第一次産業は決して上位に入っている職種ではありません。それよりも機械関係や建築関係のほうが、受け入れ人数も多いのです。
長期にわたって働きたい実習生は機械・金属関係へ行く
機械・金属関係の職種が多くの技能実習生を受け入れているのは、深刻な人材不足が大きな理由です。日本では長年、「ものづくり・製造業」が経済を支えてきました。
そこには熟練の職人がいて、高い技術を次の世代に伝えていたのです。しかし現在では若者が製造業に入ってくることが少なく、求人を出しても応募が少ない。次第に高齢化してくる職人の技術が次世代に伝わらないことになっています。
そこで日本に最長5年滞在でき、その後も在留資格「特定技能」で日本にいられる技能実習生は、製造業に必要な人材とみられつつあります。
技能実習生は2号修了までの通算5年の日本滞在が認められており、また2号修了後に在留資格「特定技能1号」を取得してもう1年、滞在できます。その間に「特定技能2号」を取得すれば在留期間の上限がなくなるのです。つまり技能実習生→特定技能1号→特定技能2号に進めば、日本でいつまでも滞在できます。
長期にわたって日本で働きたい実習生と、熟練工の欲しい機械・金属関係現場の需要と供給が一致しているのです。
コロナウイルス収束までに、教育体制や受け入れ態勢を整える
人手不足に悩む機械・金属関係の企業は、海外からの技能実習生に高い期待が寄せています。実習生の受け入れ態勢を整える企業も増えていますので、コロナウイルスの感染状況が落ち着けばふたたび多くの技能実習生が機械・金属関係の職種にやって来るでしょう。
機械・金属関係の現場では、それまでに教育体制や受け入れ態勢を整えておくことが求められています。