技能実習生の再就労、多い職種は農業・食品製造
現在は新型コロナウイルスの感染拡大のため、海外との往来が大きく制限されています。通常ならありえないような状況のなか、外国人技能実習生の実習先の企業や工場、がやむなく休業・廃業することにより職を失い、再就労を余儀なくされています。
ここでは技能実習生の再就労先として多くの実習生を受け入れている職種「農業・食品製造」についてご紹介しましょう。
コロナ不況ではありますが、日本人を支える「食」の仕事は需要がなくならないからです。
コロナ禍で、技能実習生は「多職種への転職もOK」
今や日本の経済を支える大きな力となっている技能実習生。これまでは順調に受け入れ人数が増加し、令和元年末における日本国内の技能実習生は約41万人もいました。
3年もしくは5年間の実習期間を終了して母国に帰る実習生がいるいっぽう、それ以上の技能実習生が新しく入国し、入れ替わりつつも全体的に増加傾向が続いていたのです。
しかし新型コロナウイルスの感染で状況は大きく変わりました。日本にいる技能実習生にも経済状況の悪化による「解雇」が起きるようになったのです。
ここで大きく問題となったのが、技能実習生は「多職種への転職はできない」ということ。とはいえ、コロナ禍においては旅行業界など特定の職種が大きくダメージを受け、実習生は同じ職種での転職先を見つけられません。現在は政府も方向転換をしており、コロナ禍の状況に合わせて「多職種でも転職OK」としました。
そして転職先を探す実習生の受け皿として注目されているのが「農業・食品製造」なのです。
農業及び食品製造の職種には、堅実な需要
実は、技能実習制度が始まった時点から漁業・農業などでの受け入れ人数は多く、実習生たちは日本の第一次産業の人手不足を解消する強力なマンパワーとして期待されてきました。
そして予期せぬ新型コロナウイルスの感染拡大のなかで、宿泊職種などの技能実習生が雇止め・解雇になるなか、農業及び食品製造の分野では引き続き大きな需要がありました。
食料品関連の仕事は確実な需要があり、また機械化にも限界がある事から現場のニーズはなくなりません。
そのため、雇止めや解雇された技能実習生の多くが農業及び食品製造の職種で再雇用されることとなりました。現場としても新しい技能実習生が入国制限で入ってこられない現在、他職種からの転職を受け入れることで必要な人材を確保できるというメリットがあります。
今後も農業・食品製造の分野では、実習生の受け入れが進む予測
新型コロナウイルスのために、技能実習生をとりまく状況は変わりました。
職種変更OKのほかにも、2020年4月には、出入国在留管理庁が特例措置として「特定活動」を在留資格として導入。実習が終わった技能実習生も、在留資格を変更して日本に滞在できるようになりました。
農業・食品製造の分野は雇用が経済状況の悪化に左右されにくく、引き続き人材が必要です。今後もより多くの技能実習生を受け入れていくことになるでしょう。