技能実習生のマスク等医療用資材の製造OK、長期的な実習先の確保に
日本経済がゆるやかに落ち込みつつある現在、外国人技能実習生の受け入れ企業も決して安泰ではありません。
しかし需要のあるところへ実習生をつなげるのも重要なことです。
新型コロナウイルス防止から需要が高まり続けている「マスク」の製造現場にも、技能実習生が入れることになりました。
一時的な特例措置ですが、中期的な実習先の確保につながる可能性もあります。
繊維・衣類関連の実習生は、マスク製造に従事できる
厚生労働省では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、技能実習生がマスク製造にたずさわっても良いという特例措置を決めました。
これは以前より繊維・衣類関係の実習先企業から「技能実習生もマスク製造に入らせてほしい」という要望が出されており、厚生省がそれに答えた形です。
ただし「技能実習制度は、どこまでも国際貢献の一環である」という政府のスタンスは変更できませんから、マスク製造に従事できる実習生には以下の条件が求められます。
1.繊維・衣類関連の職種で入国している実習生に限る
2.マスク製造に従事できる期間には制限があり、実習期間全期間の半分を上限とする
3.マスク製造のみに従事せず、予定どおりの技能検定試験もおこなう
上記2点をクリアすれば、全国に約3万人もいるという繊維・衣類関係職種の技能実習生は比較的長い期間にわたって実習先を確保できることになります。
またこれまで中国などの外国製マスクに依存してきた日本にとっても、国内でマスクを製造できる環境を整えておくことは非常に重要です。
マスク製造+予定通りの検定にも合格する必要がある
さて、実際に技能実習生がマスク製造に従事する場合は、以下の手続きが必要になります。
●「技能実習計画軽微変更届出書」及び「業務の内容の説明資料」をOTIT(外国人技能実習機構)の地方事務所・支所に提出する
ただし、「技能実習計画軽微変更届出書」を提出したからといって、実習生の技能検定の内容は変わりません。
前に提出済みの「技能実習計画」にのっとって検定を受けて合格しなければなりませんから、マスク製造だけをしているわけにはいかないのが注意点です。
事前に技能実習計画で掲げた目標を達成するよう、マスク製造以外の技能を習得し、検定に合格しなければなりません。
コロナ禍の状況を読み、柔軟な対応が求められる
必須業務の技能習得にも注意を払いつつ、技能実習生が働けるように雇用の場を維持していくことが、受け入れ企業および管理団体に求められます。
コロナ禍で日本経済は刻々と変化していますので、国・監理団体・実習先企業は柔軟に対応する必要があるでしょう。